オリンピックサッカー、なぜ23歳以下限定?

  • 2019/04/09 更新

オリンピックサッカー、なぜ23歳以下限定?

いよいよ開幕が来年に迫った東京オリンピック!
東京オリンピックでは開催国として様々な競技に注目が集まります。
その中でも【サッカー】は大注目の競技のひとつでしょう。

そんなオリンピックのサッカー競技には
様々な制約が課せられていることをご存知でしょうか。

 

1,年齢制限がある?

オリンピックは各競技、世界一を決める大会となっていますが、男子サッカーは少し他の競技と違いがあるんです。
なぜなら、出場選手に「23歳以下」という年齢制限があるから。

では、そもそもなぜサッカーだけが「年齢制限」というルールが設けられているのでしょうか?

オリンピックはもともとアマチュアスポーツの大会であり、プロ選手の参加は認められていませんでした。
その一方で、1904年に設立されたFIFA(国際サッカー連盟)は1930年に第1回ワールドカップをウルグアイで開催。
この大会には選手のプロ・アマの両方の選手が出場できたことから人気を集め発展し、「世界一を決める大会」としての地盤を固めていきました。

すると1970年代に、オリンピックに関する規則「オリンピック憲章」からアマチュア規定を削除。
1984年に開催されたロサンゼルス五輪からプロ選手を徐々に解禁する動きを見せていたのですが、これを認めなかったのがFIFAでした。
FIFAは、「プロ選手が五輪に出場することでワールドカップの存在意義が薄まる」ことを恐れたのです。
IOC(国際オリンピック連盟)とFIFAによるこうした対立があって、ロサンゼルス五輪ではプロ選手の出場が認められたものの、
ワールドカップの予選および本大会に出場した選手に参加資格は与えられませんでした。
プロ選手の参加を容認したとは言え、これではアマチュア限定での大会とそれほど大差がないですね。

そうした両組織の妥協案が「23歳以下限定」というルール。
このルールは1992年のバルセロナ五輪から導入され、1996年のアトランタ五輪から3名のオーバーエイジ選手が認められるようになりました。

このように23歳以下という特別なルールは、五輪のサッカー競技をより魅力的なものにしたいというIOCとワールドカップの存在価値を守りたいFIFAが妥協し合った結果の産物ということなのですね。
そしてそれは、五輪より大きな大会が存在する男子サッカーならではの現象といえるでしょう。

2,登録選手はたった18人

五輪のサッカー競技の登録選手は18人となっています。
ワールドカップをはじめとするFIFAやUEFAが主催する国際大会では23名の上限が一般的となっていますが、なぜ五輪では18名なのでしょうか?
その理由や背景については明らかになっていないそうですが、前述したFIFAとIOCの“ねじれ”が関係しているともいわれているそうです。
サッカーでは決勝にまで勝ち残った場合6試合を戦うことになりますが、18名でこれだけの試合数をこなすのは選手にとってはかなりの負担になります。
さらに五輪は短期決戦であり、ワールドカップと比較しても試合の中日が相当に短いため、五輪チームでは複数のポジションをこなすことができるユーティリティプレーヤーが重宝されています。

 

3,オーバーエイジ

IOCとしては世界で一番盛んなサッカーの年齢制限を撤廃してワールドカップにしたいところで、何度もFIFAにかけあっている中で“妥協案”として採用されたという【オーバーエイジ】。
【オーバーエイジ】とは、オリンピックの本番(各大陸予選では採用されない)で24歳以上の選手を3名まで参加させることができること。
ただし、オーバーエイジは女子サッカーにはなく、男子サッカーにしか存在しません。
チームによって弱点のポジションを補強したり、あえて将来を見据え予選からのまとまりを重視してオーバーエイジ枠を採用しなかったりするチームもあります。


ちなみに過去オーバーエイジ枠で日本代表に選ばれた選手はだれなのか、オーバーエイジ枠が適用された1996年のアトランタ五輪から振り返ってみます。

1996年 アトランタ五輪

→オーバーエイジ枠不使用
結果:グループリーグ敗退

2000年 シドニー五輪

→楢崎正剛、森岡隆三、三浦淳宏
結果:ベスト8

2004年 アテネ五輪

→曽ヶ端準、小野伸二
結果:グループリーグ敗退

2008年 北京五輪

→オーバーエイジ枠不使用
結果:グループリーグ敗退

2012年 ロンドン五輪

→徳永悠平、吉田麻也
結果:4位

2016年 リオ五輪

→塩谷司、藤春廣輝、興梠慎三
結果:グループリーグ敗退

2012年のロンドン五輪では吉田・徳永とDFの選手を使用し、見事ベスト4になりました。
果たして、2020年の東京オリンピックでオーバーエイジ枠の使用はあるのか、使用した場合誰が選ばれるのか、そこにも注目です。
森保監督もオーバーエイジ枠を使用することを示唆していますし、実際に長友佑都、武藤嘉紀、本田圭佑らが出場に意欲を示しているようですね。

 

若手の大会という印象が強いオリンピックですが、若い選手の勢いと、ベテラン選手の経験が交じり合ったとき日本の強さでもある“チーム力”が存分に発揮することでしょう。
来年に迫った、東京オリンピック!
サッカーはもちろん、様々な競技にも注目が集まりますが、あなたの一番楽しみな競技はなんですか?

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