VARにより起きている審判へのマイナス効果

  • 2018/06/24 更新

VARにより起きている審判へのマイナス効果

連日盛り上がるロシアワールドカップ。
日本代表の活躍ですっかり日本国内もワールドカップ一色になっていますね。
大会が進むなかで、これまで記事にしてきたビデオ・アシスタント・レフェリー(以下、VAR)についても注目されることが多くなりました。
同時にペナルティエリア内で倒れたらすべてVARという空気に主審への経緯が薄れているのではないかと、気になっています。
今回は、あくまでも決定は主審であること、VARの使われ方をおさらいしたいと思います。

まずは、VARについて説明の映像をご覧ください。

「はっきりとした明白な間違い」「見逃された重大な事象」を正しく判定するため、映像を用いて主審を援助するもので、全ての判定を決定づけるものではありません。

VARの本質として、選手がよりクリーンな戦いの中で実力をぶつけ合うため、最小限の介入で審判を援助し、いい試合を作ろうという事のはずが、審判の判定は信用ならないというイメージがつき始めているように感じてなりません。

ワールドカップで笛を吹く審判ですから、ここに至るまで並々ならぬ努力を積んできていることは言うまでもありません。
確かに、起きた事象に対し瞬時に判断する主審よりも、いろんな角度からのリプレイ映像を見て判断した方が精度は増します。しかし、主審のいない巻き戻しが連続される都度止まるサッカーは楽しくありません。

今のやり方が続くのであれば、審判は自信を失い、局面の難しい判定を自ら行う努力を怠ります。それこそ審判の試合での立場が変わってしまいます。
無論、審判のレベル低下につながることも考えられます。

VARの本質自体はとてもいいものだと感じますが、今大会での導入は色々と早すぎたと感じています。
試合中、監督や選手がVARを求めることは警告の対象であることをどれだけの人が知っているのか。
選手でも試合中に平気でVARを要求するジェスチャーをする場面も見受けられます。

今大会のスウェーデンー韓国戦であったシーン。
韓国がペナルティエリア内でスウェーデン選手を倒したが、PKではないとその場で主審が判断し、プレーを続けさせたあと韓国が逆にカウンターでスウェーデンゴール前まで迫りチャンスとなった場面でのVARストップ。仮に、判定は覆らずPKではなかったと改めて判定された場合、本質とは真逆の効果となります。
まだまだ運用に疑問点は多いですが、審判への敬意を損なわない運用方法を今大会で導き出して欲しいという、いち審判としての願いです。

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